2012年8月31日金曜日

マダラについての考察

マダラからのセシウム検出が続いています。

マダラの回遊性は詳細が分かりにくかったようですが、幾つかの系列があることが調査によって判明しており、
「太平洋北部群系」という群れがあるようです。
http://abchan.job.affrc.go.jp/digests22/details/2231.pdf (詳しい研究。回遊域図入。)

また、夏場は深場に、冬は浅場に棲息する傾向があるようで、
最近(H24年夏)、マダラからの検出や、基準値超えが続いているのも、棲息深度とも関係あるだろうかという推測を持ちます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%A9 (Wikipediaへのリンク)

また、マダラはかなりの量を食べる「大食漢」とのことで、
日本海で850匹の胃を調査したところ、39%が魚類、19%が甲殻類であった、ということでした。
http://www.fishexp.hro.or.jp/exp/fish/kuwashii/49.pdf

以上からも、
1、底生
2、汚染度の高い海域に棲息(回遊含む)
3,食肉性・食物連鎖上位
等の傾向がやはり伺えます。

太平洋側北部のマダラは、より検体数を増やした測定によるチェックが大変大事であると思うところです。

2012年7月31日火曜日

玄麦中のCs-137およびSr-90値の経年変化グラフ

1959年から2000年頃までの玄麦(むぎ)中のCs-137及びSr-90の汚染度グラフを作成してみました。(データ出典:独立行政法人農業環境技術研究所「主要穀類および農耕地土壌の90Sr と137Cs 分析データ一般公開システム」)

グラフの下には、以前の投稿にも掲載した玄米中のCs-137及びSr-90のグラフも再掲載いたしました。

玄米との違いで顕著な点が二つ見受けられます。
一つは、玄米より玄麦の方が、Cs-137及びSr-90の濃度が基本的に高い、ということです(玄麦と玄米の縦軸の数値が違うことにご留意ください)。

今ひとつは、1986年のチェルノブイリ事故の年に、玄米はほぼ影響が顕著に見えませんが、玄麦は顕著に影響が見られることです。
これは、チェルノブイリ事故のあった4月26日以降の時期は秋冬に播いた麦が生育期にあり、葉面等からの吸収量が大きかったことが推測されます。
お米は多くの地方でまだ田植え前の時期ですから、葉面等からの直接吸収が少なかったことが推測されます。

1986年は玄麦からCs-137の検出がかなりありましたが、翌年には落ち着いていることが見て取れます。
これと同様に、東京電力福島第一原発の事故でも、2011年産の麦からは、色々な地域で検出されていますが、2012年産からの検出は、こどもみらい測定所での測定では不検出が続いています(H24年産で一検体、10Bq/kg強の検出があったものがありましたが、これはH23年産をH24産と誤認識しただろうか、と推測しておりますが、検証が十分ではありません)。

いずれにしても、麦に関しては、東京電力福島第一原子力発電所由来の汚染は、今年(2012年)からかなり落ち着くであろうことは予想されます。(土壌汚染濃度が高い場合や、土壌条件が悪い場合は分かりません。)

有益なデータを公開してくださっている、独立行政法人農業環境技術研究所様に感謝いたします。





2012年7月27日金曜日

玄米中のSr-90及びCs-137量 推移グラフと核実験数グラフ


作物中のSr-90及びCs-137の変化を見るため、
独立行政法人 農業環境技術研究所の「農業環境中に存在する放射性核種の一般公開システム」のデータをグラフ化させて頂きました。(Cs-137、Sr-90の平均値が、それぞれ日本海側、太平洋側に別れています。単位はミリBq/kgですから、1000分の1Bq/kgです。)

2011年からのデータは、これから出てくることになりますが、
とりあえず2000年ぐらいまでのデータとして。

国別核実験回数のグラフも下に掲載しておきます。wikipediaからのグラフです。(上下のグラフは、年記述がずれていますので、適宜対応する年を判別してご覧ください。)
1963年に部分的核実験禁止条約が結ばれ、地下核実験へと移行していったので、1963年をピークにCs-137及びSr-90の量は減少していっているようです。

それにしても、とんでもない数の”実験”が行われたもので愕然とします。
詳しくは、核実験(wikipedia)が参考になります。以下、一部引用。

「1945年から約半世紀の間に2379回(その内大気圏内は502回)の核実験が各国で行われた。そのエネルギーはTNT換算で530メガトン(大気圏内は440メガトン)でこれは広島へ投下されたリトルボーイの3万5千発以上に相当する[1]。」

歴史や事実を知ることは、とても大切であると、思いを新たにするところです。

2012年7月25日水曜日

魚介類のプルトニウムや放射性銀の測定データが掲載されているPDF(厚労省)

厚生労働省のサイトに、魚介類の測定情報が掲載されていたので、転載させて頂きます。
放射性銀Ag-110mや、プルトニウムPu-239+240などの数値も表示されている希なデータとなります。

放射性銀の測定に関してですが、
Ag-110mは658keVのγ線を94.3%の放出割合で出すのですが、662keVのCs-137と、シンチレーターでは見分けが出来ません。
しかし、Ag-110mは885keVのγ線も72.7%の放出割合で出すので、それによって若干見分けが付く可能性もあるかもしれませんが、やはりゲルマニウム半導体検出器での測定が確実でしょう。
普通NaIシンチレーターでは、放射性銀のベクレル値を算出するプログラムを有していないと思われます。
少なくとも当所の測定器は、そのプログラムは有しておりません。
ご了承ください。

また、プルトニウム239、240なども(極端に微量にしか)γ線を放出しませんので、当所では残念ながら測定は不可能です。
ストロンチウム89,90に関しても同様に当所では測定不可能です。

下記の表で、Sr-90の欄が「<30』と表記されていますが、単位に「m」がついておりますので、「30ミリBq/kg=0.03Bq/kg未満」であることは注意を要します。
Cs合算で、マダラ57.7Bq/kg、エゾイソアイナメ63.9Bq/kg、アカガレイ132.1Bq/kg、ミキガレイ27.3Bq/kgの五検体が、
0.03Bq/kg未満の検出限界未満、という結果だったようです。
全てストロンチウムの溜まりやすい頭部や骨のみについての分析を行ったようです。
一番Cs値の低いミキガレイでも、約1000分の1未満であるので、セシウムに対してストロンチウムは1000分の1未満と、これらの5検体では考えられます。

また、プルトニウム239+240に関しても、ストロンチウム90同様、mBq/kgが単位ですので、例えばカタクチイワシは0.003mBq/kgですから、0.000003Bq/kgということになります。(一体これだけ検出限界値を下げるには、どれだけのカタクチイワシを処理したのでしょう……………。びっくりです。)

他にも、セシウムとストロンチウムに関する測定データがあり、そちらも参考になります。

玄米中Sr-90量の経年変化表

独立行政法人 農業環境技術研究所の「農業環境中に存在する放射性核種の一般公開システム」にあるデータから、1959〜2000までの玄米中Sr-90量の推移表を作成してみました。
色のセンスがエグイ感じなのはご容赦をば。

1963年がやはり一番大量であることが分かります。(核実験数に関して、前に記事を書きました。http://kodomira.blogspot.jp/2012/07/blog-post_11.html )

単位はmBq/kgであることにご注意下さい。1000分の1Bq/kgです。



以下、参考までにwikipediaから、核実験数のグラフを再掲。



2012年7月20日金曜日

原発周辺モニタリングポスト(2011年3月11日〜16日)の測定動画

3/14 モニタリングポストのNaIスペクトル」というタイトルで、
youtubeに動画が上がっていました。
(尚、タイトルは「3月14日」となっていますが、実際のデータは、3月11日14時から、3月16日16時40分までのデータでした。)



この動画は、三箇所の東京電力福島第一原発近辺のモニタリングポストの測定データの連続画像を、
動画にどなたかが加工してくださったものです。
NaI(ヨウ化ナトリウム)シンチレーターでの測定データです。

元々のデータは、福島県のサイトに掲載されているPDFに掲載されています。
http://www.pref.fukushima.jp/nuclear/info/pdf_files/120314/1.pdf
例えば「大野局」のデータは以下に。
http://www.pref.fukushima.jp/nuclear/info/pdf_files/120207/1.pdf
そして、その全725ページの画像は以下のPDFに。
http://www.pref.fukushima.jp/nuclear/info/pdf_files/120207/NaISec_Oono_20110311-20110316.pdf

初めてこの動画を見たときは、強烈なショックを受け、
思わず涙がこみあげてきました。

と申しますのも、普段、NaIの測定器で食品や土壌のγ線を測定していますが、
この動画は、そのような普段の測定の様子とは全く違い、
折々にスペクトルが上方に振り切れてしまう様子が凄まじく、
見たこともない有様であったからです。

以前閲覧して、非常に印象に残った動画だったので、ここにリンクを掲載させて頂きます。

以下、東京電力福島第一原発を中心として、上記三箇所のモニタリングポスト位置を示した地図もリンクしておきます。

 
より大きな地図で こどもみらい測定所(memoli) を表示

keV値から核種を検索できるサイト

主にγ線の測定に関して、keV値から核種を検索したい場合、以下のサイトが役に立ちます。

http://ie.lbl.gov/toi/radSearch.asp

便利ですのでメモ。

自然放射線量マップ リンク

自然放射線マップ(2004年段階)、グーグルマップ上で拡大縮小可能なものを、副代表が折々に見ていて、便利なので、リンクをはっておきます。

http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html

このページの下の方にあるグーグルマップです。

核種毎の空間線量率寄与グラフ(2011年3月15日から)

2011年3月15日以降の核種毎の空間線量率への寄与を視覚的に見ることが出来る、
貴重な資料が、
日本分析センターのサイトに掲載されています。

http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/nodo.pdf

日々の測定データの積み重ねが、色々なことを見せてくれます。

素晴らしい資料に感謝したいと思います。

2012年7月19日木曜日

EVERNOTE、気に入っています。

少し前から、EVERNOTEというソフトを本格的に使い始めました。
メモを書いたり、webページをクリップしたり。

主に、webサイトを閲覧して、重要だと思われる情報を、「緑の象さんマーク」ボタンをポチッと押して、どんどん保存しています。

カテゴリ分けをしておけば、探すのも楽。

いろいろ使い込めば高度な使い方も出来るようですが、

・カテゴリ分けして、どんどん保存する。
・webページのURLをコピーペーストしておく。
・メモを自分で短く入力する。
・PDFファイルも、どかっと貼り付けておく

というあたりのシンプルな使い方で自分はかなりありがたく使えています。

容量制限を外すため、清水の舞台(?)から降りる気分で、有料で使っています。

放射能関連のカテゴリが、どんどん細分化していく日々です(汗

低線量被曝評価に関する歴史を学ぶ

増補 放射線被曝の歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで」という本を以前、人から強く勧められて購入しました。
こどもみらい測定所の机に積んでありましたが、今日、本腰を入れて読み始めました。

低線量被曝・内部被曝(過小)評価の歴史について、詳しく書かれています。
広島長崎のこと、原水爆実験のこと、被曝評価の歴史的経緯、「リスクとベネフィット論」の台頭。。
仕事の終わった後の小一時間ばかり、赤線を引きながら、夢中で読んでいました。



また、昨日は「原爆調査の歴史を問い直す」という資料を読んでいました。
NPO法人市民科学研究室・低線量被曝研究会によって刊行されたものです。
http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2011/03/post-47.html
これも労作で、丹念に事実を追って作られていました。
この冊子を読み、
「もっと低線量被曝評価の歴史について知らなくてはいけない」と思い、
前記「放射線被曝の歴史」の本も久方ぶりに紐解いてみた次第です。

歴史と、事実を丹念に学ぶことの大切さを、このところ痛感します。
学ぶことが、始まりとなる。いつの時も。

2012年7月18日水曜日

海外の基準値超え食品のリスト

海外からの食品の基準値超えのリストを紹介して頂きました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1108-2.html

けっこうハーブ系にも基準値超えのものがありますね。
知りませんでした。

H13年のデータですが...。

2012年7月11日水曜日

市民測定所とゲルマニウム半導体検出器

お仲間の測定所である信州ラボさん(民間企業でもある市民測定所)が、
テクノAPという国内メーカーのゲルマニウム半導体検出器を導入されました。

代表の方は、非常に研究熱心な測定者の方であり、
様々な情報発信を行っておられますが、

「ゲルマニウム半導体検出器の検出限界を測る」


というタイトルの記事が、検出限界値に関する考察として、

グラフ入りで大変興味深く、また勉強になりましたので
リンクを貼らせて頂きます。

ゲルマニウム半導体検出器は市民測定所にとってとても重要であり、
「クロスチェック」(同じ検体を別の測定器で測定し、値を確かめること)が、一般の市民測定所が使うシンチレーション式測定器による測定の質の確保の面で重要です。
「分解能」(核種を見分ける能力)がゲルマニウム半導体検出器に比べて劣ります。

福島の市民放射能測定所CRMSさんにも、ゲルマニウム半導体検出器があります。
そして、また下北沢のCMRSせたがやさんにも、今週、ゲルマニウム半導体検出器が搬入され、調整に入ります。

市民測定所の底上げがなされるものであり、これからが楽しみです。

ゲルマニウム半導体検出器は初期費用も維持費も高いものであり、
ゲルマニウム半導体検出器を保持する測定所の運営がしっかり成り立つ体制を、こどもみらい測定所としても、市民放射能測定所ネットワークとしても一緒に考えていかなくてはならないと思っております。

世界の核実験数の推移

下の図は、世界の核実験数の推移グラフ。wikipediaから
ものすごい数です。ピークは1962年。
昨年以前の話では、1963年が、日本でも一番、放射性物質が検出されていたことが、
お米などの調査から分かります。
酷い話です。

玄米や白米、その他主要穀物や農業土壌中のCs-137やSr-90濃度の調査結果を閲覧できるサイトはこちらです。(「主要穀類および農耕地土壌の90Sr と137Cs 分析データ一般公開システム」)



文科省によるプルトニウム、ストロンチウム調査PDF

文科省(MEXT)による土壌中のプルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果PDFへのリンクです。

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/6000/5048/24/5600_0930_n.pdf

福島県発表のPDFと併せると、更に興味深いところです。
福島県発表の方には、こちらの資料が引用されている印象です(正確に自分で確認しておりません)。
http://www.pref.fukushima.jp/j/dojou120406.pdf

以下、上記PDF(「文部科学省放射線量等分布マップ拡大サイト/電子国土」より出展)のSr-89およびSr-90の図です。
Sr-90が下、Sr-89が上に、分数のような表記で書かれています。(単位はBq/㎡。Bq/kgではありません。Bq/㎡の方が、Bq/kgより大きい数字となります。図面の大きさの関係上、マップの右下に書かれていた説明書きの部分を削ってしまっており、失礼いたしております。より詳細には、出典元をご確認下さいませ。)
緑丸地点が、Sr-89も検出された地点。グレーの三角がSr-90のみの検出であった地点だそうです。

非常に有益な測定情報を公開しておられ、感謝いたします。


2012年7月10日火曜日

海水中のストロンチウム濃度表(海上保安庁)

海上保安庁が出している、海水中のストロンチウム90(及びセシウム134、137)濃度のPDFへのリンクです。

http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h24/k20120424/k120424-2.pdf

願わくば、半減期50日ほどのストロンチウム89も測定して公開して頂ければ、
更に参考になったのに、とその点は残念です。

ちなみに、大気圏内核実験などがあったので、これまでも1〜2mBq/Lぐらいはあったということのようです。
核実験は、Cs-137とSr-90を大体同一比ぐらいで放出するようで、恐ろしいものです。
ピークは1962〜3年頃ですが。。

福島県が出している、土壌中のストロンチウム・プルトニウム濃度情報

福島県が、ストロンチウムとプルトニウムの土壌測定データをPDFで公開しています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/dojou120406.pdf

色々なことが読み取れます。

2011年と2005年の測定情報を比較しているのも、興味深いところです。

ものすごく表が細かくて見にくいので、拡大してよく見ないとわかりません。

ちなみに2.06E+01とかいう表示で、E+01は10の1乗ということで、10倍、
すなわち、20.6のことです。

2.06E+02は10の2乗=100をかけて、206のこと。
私が最近まで分かっていなかったので、念のため。(石丸)

それにしても、Sr-89のデータが無いのが、非常に残念です。
半減期50日ほどですので、Sr-89のデータがあれば、更に詳細で、意義深いデータとなったことと私は感じます。
核実験やチェルノブイリ事故からの影響と、今回の事故の影響が、より見分けやすくなりますので。
ストロンチウム測定は大変ですけれども、Sr-89の測定は同時にされなかったのか、気になるところです。ストロンチウム測定は予算が非常に予算がかかるのですが。。

こちらのブログ、メモ・雑記用に復活いたします。

こどもみらい測定所の公式ブログは
にありますが、

外部情報へのリンクや、メモなど、
こちらのブログに復活させることにいたしました。

こどもみらい測定所での測定情報などを、公式ブログから、
その他の情報を、このブログで、
書き込んで参ります。

よろしくお願いいたします。

 こどもみらい測定所 石丸

2012年2月13日月曜日

やっぱり、このサイトはクローズにて。。

度々すみません。

こちらのブログは、ブログの一本化のため,閉鎖いたします。

お手数ですが、
公式サイト http://kodomira.com/
公式ブログ http://memoli4future.com/kodomira/
をご覧下さい。

よろしくお願いいたします。

2012年1月22日日曜日

雨や雪に含まれる天然放射性物質


雨や雪が降った時の一時的な空間線量の増加は殆どの場合大気中に含まれるラドンという気体の天然放射性物質(ラドン温泉のラドンです)と、それが崩壊した短寿命の娘核種(鉛やビスマス等の放射性同位体)が雨粒や雪に絡め取られてまとまって地表に落ちて来るのが原因です。ラドンは通常空気1立方メートルあたり数ベクレル~数十ベクレル程度存在することが多く、屋外より屋内の濃度が高くなります。

このうち鉛とビスマスの同位体が崩壊時にγ線を放出し、降雨時の空間線量増加の原因になっています。雨水中のラドンは本来気体ですから雨が上がって地表が乾くと共に再び拡散し、薄められます。鉛とビスマスは共に半減期が数十分と短いので数時間も経過するとほとんど減衰してしまいます。γ線の放出源が減ってしまうので雨が上がると空間線量は元に戻ります。

昨年3月21日に雨と共に上昇した東京の空間線量は雨が上がっても元には戻りませんでした。雨水中に福島第一原発から放出された大量の放射性物質が含まれていたのです。このうちセシウム134、セシウム137が現在も環境中に大量に残留しているのは周知の通り。

つまり、雨が上がって上昇した線量が元に戻ればOK、戻らなかったらアウトということです。昨年夏にそのことをFacebookにポストしてました。Facebookアカウントお持ちの方はご覧下さい。 http://on.fb.me/xcPmo7

雨や雪と共に上昇した空間線量の原因がヨウ素やセシウムなのか?それとも鉛やビスマス等の天然核種なのか?これを迅速に見極めるには雨水をゲルマニウム半導体検出器で測定するしかありません(セキュリティ東京さんありがとう http://bit.ly/xjfMUf )。線量計はもちろん食品測定器のようなシンチレーションスペクトルメータでも分かりません。測定器の限界なのでどうしようもないのです。

雨水や雪を溶かした水を煮沸して溶存するラドンを取り除き、それから数時間以上密栓放置して鉛やビスマスなどの短寿命核種の減衰を待ってからシンチレーションスペクトルメータで長時間測定すればゲルマニウム半導体検出器が無くても放射性セシウムの有無はわかります。でもそんなに悠長に待っていられないですよね。

ここで雨や雪に含まれる天然放射性核種の影響について考えてみます。

まずラドン、これは地中やコンクリート、石材等から滲み出してきたものが空気中に含まれています。ですから屋外より屋内のほうが濃度が高くなります。高濃度のラドンに長期間にわたって被曝し続けた場合肺がんの原因になる可能性があることはWHOも警告しています。[屋内ラドンの危険性(Wikipedia)] 但し、これは屋内の高濃度ラドンを吸入被曝した場合です。雨や雪に含まれるラドンを呼吸から摂取してしまう可能性は少ないのでこれはあまり心配しなくてもOKだと思います。屋内のラドンによる被曝を減らすにはきちんと換気すればOK。

次に鉛やビスマス等のラドンの崩壊娘核種、これらはγ線を放出しますが、半減期が短く短時間の被曝となるので外部被曝としては影響は小さいと思います。内部被曝も雨や雪に含まれるものを呼吸から摂取するのを避ければOKです。雨や雪を吸入摂取することは量的にはかなり少ないでしょう(雨や雪を大量に吸入したら溺れます^^;)。飲食による被曝は吸入に比べて影響が極めて小さいと言われています。放射能抜きに考えても雨水や雪をそのまま飲食するのは衛生上あまりオススメできません。煮沸消毒すればラドンも除けます。そして鉛やビスマス等の短寿命核種が減衰してしまえば放射能としても大幅に減ってしまいます。

しかしながら、前述したように雨水に含まれるのが天然放射性核種なのか、それともヨウ素131や放射性セシウムなのかはなかなかわかりにくいことなので、直接雨に当たるのはなるべく避ける、濡れた雨具は濡れたまま居室内に持ち込まないといった用心は普段の備えとして大切なのかもしれません。

                                                           副代表(技術担当)という肩書きがついてしまった(M)

2012年1月20日金曜日

長時間測定を毎晩行っています。

当所の測定器は、NaI(ヨウ化ナトリウム)シンチレーターというもので、
低いベクレル値ですと、精度がそれ程確かではありません。

そこで、白米などの測定では、基本の30分測定でははっきりしないことが多くあります。

その場合、気になるものはお預かりして、時間を延長したり、
さらには、夜中11時間強(40000秒)程測って、数値を絞り込んでいっております。

測定器が二台ありますが、夜な夜な頑張ってくれていて(まあ、微量な放射線を、ごく省エネでチマチマと測り続けているだけ、といえばそうなのですが)、
朝、その結果を見て、一日がスタートする、という形です。

ちなみに、測定器はノートPCからのUSB給電だけで動いています。
かなり省エネな機械です。AT1320Aという機種です。
それも気に入っているところです。

朝日新聞の、食事丸ごと検査結果。興味深いところです。

朝日新聞が、福島、関東、西日本の53家族を対象に、一日の食事中のセシウムの摂取量を測定した結果を発表していますね。
http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY201201180799.html

中央値(平均値)では「福島県では3食で4.01ベクレル、関東地方で0.35ベクレル、西日本でほとんど検出されないなど」の結果であったということです。
ただ、最高値では福島県で17.30Bq、関東でも10.37Bqということで、関東でもそこそこ摂取している家庭があることも、この調査でわかります。

こういった検査は非常に重要です。
更に、政府などもこういった調査を広範囲に行ってもらいたいものであると思います。

2012年1月16日月曜日

北海道の海産物のデータ

北海道の海産物の放射線量データが掲載されていたのでメモ的にリンクを貼っておきます。
http://monitoring-hokkaido.info/

マダラ等に数値が出ていますが(ほぼ不検出に近いものから、セシウム合算53Bq/kgや70Bq/kgのもの等)、
暫定基準値(500Bq/kg)以下ですから、「北海道の水産物は安全です」という表記となっていますね。。。

漁業をやっておられる方々は、本当に大変だと思います。
”風評被害”のみならず、実害も多く受けておられます。
第一次産業は、本当に大事な生活の要です。
その産業が、大きな打撃を受けている状態をとても残念に悲しく思います。
しっかりと、補償がなされていくことを心から願います。

同時に、
しっかり数値を見極めて、
消費者が健康を守っていくための判断材料がもっともっと必要であると思わずにいられません。

雑記スタート

こちらのブログに、こどみら(こどもみらい測定所)スタッフの雑記を載せてゆきます。
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